ID-POSデータ活用で店舗の強みを引き出す分析術
はじめに
データ活用の重要性が高まる一方で、実際にどのようなデータを使い、どのような分析を行い、そこからどのような示唆を得られるのかという具体的な事例はまだ少ないのが現状です。
この記事では、ID-POSデータを用いた分析の具体例を紹介し、ビジネスにどのように役立てることができるのか、その過程を説明します。
技術的な細かい部分よりもビジネスにどのように活用できるのかという点に、フォーカスしてお話ししていきたいと思います。
ID-POSデータの概要
ID-POSデータとは、POSデータに顧客IDを加えたものです。
POSデータ自体は、商品がいつ、どこで、いくつ、いくらで売れたかという情報を提供しますが、ID-POSデータでは「誰が」その商品を購入したかも把握できます。
これにより、消費者ごとの購買行動の傾向や、店舗・商品ごとの売れ筋分析が可能になり、特に小売業や流通業において、店舗運営やマーケティング戦略の立案に有効です。
分析の全体図
今回の分析は、複数店舗を運営している小売業を想定し、店舗ごとの客単価と来店頻度を比較することを目的としています。
この2つの指標を使って、各店舗のパフォーマンスを視覚的に評価し、改善すべき点を見つけ出すことが狙いです。
店舗視点、商品視点、顧客視点という3つの切り口で分析を進める予定ですが、今回は店舗視点に焦点を当てます。
ID-POSデータとは
コンビニやスーパーで買い物をするとき、バーコードを読み込んで代金を計算しますが、この時に集められるデータが「POSデータ」です。
「POSデータ」からは、「いつ」「どこで」「どの商品が」「いくつ」「いくらで」売れたかという販売時点情報が得られます。この「POSデータ」に「誰が」という情報が加わったものが「ID-POSデータ」です。
まず、サンプルのPOSデータから特定年月の販売データを抽出し、客単価と来店頻度を計算していきます。
各店舗の売上金額や購入回数、ユニーク顧客数を基に、これらの指標を導き出し、さらに散布図を用いて店舗間の比較を行っていきます。
分析結果の可視化
散布図を作成し、横軸に来店頻度、縦軸に客単価を配置することで、各店舗の位置関係を一目で把握できるようにしました。
この可視化によって、来店頻度は高いが客単価が低い店舗や、その逆の店舗が存在することが分かります。
さらに、全体の平均値を示す線を追加することで、店舗ごとにどの方向で改善を図るべきかが明確になります。
例えば、平均よりも客単価が低いが来店頻度が高い店舗では、より高価格帯の商品を提案することが改善施策として考えられます。
ビジネスへの応用
この分析結果を元に、経営者は各店舗の課題を的確に把握し、改善に向けた施策を講じることが可能です。
例えば、客単価が低い店舗には、商品の品揃えを見直し、高単価商品を増やすことで利益率の向上を目指すことができます。
また、来店頻度が低い店舗では、キャンペーンや特典を提供することで、リピート率を上げる施策を打ち出すことが考えられます。
さらに、この分析の結果をもとに、商品レベルや顧客レベルでの詳細な分析も進めることができるため、各店舗が抱える具体的な問題点を掘り下げることができます。
例えば、売上が伸び悩んでいる店舗については、どの商品が売れていないのか、どの顧客層が来店していないのかを深掘りし、そこに対応した具体的な施策を講じることができます。
# まとめ
今回は長くなってしまったので、ひとまず散布図で可視化したところまでとしました。
次回以降、ここからさらに、客単価がばらつく要因を調べたり、客単価が高い店舗と低い店舗では売れている商品にどのような違いがあるかなど深堀していきたいと思います。
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