入社当日の寂しさが早期離脱につながる<br>~2025年春に向け「オンボーディング」の準備を~

入社当日の寂しさが早期離脱につながる~2025年春に向け「オンボーディング」の準備を~

さて早速ですが、20254月入社の新入社員(25卒)の受け入れ態勢、できていますか?

目次

多くの若手人材が入社後数年に離脱

令和3年に厚生労働省が発表した雇用動向調査結果
(リンク貼付: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/dl/gaikyou.pdf)によると、24歳以下の若手は離職率が非常に高く、20~24歳では、男性の24.2%、女性の26.9%、19歳以下では男性の103.2%、女性の36.0%と、
実に3~4割に近い人材が短期間で離職ています。

厚生労働省・雇用動向調査結果性(令和3年)、年齢階級別の入職(男)
厚生労働省・雇用動向調査結果性(令和3年)、年齢階級別の入職と離職(女)


資料:厚生労働省・雇用動向調査結果性(令和3年)、年齢階級別の入職と離職

オンボーディングの重要性

通常、新入社員が組織に入り、活躍できるようになるまでには、
半年から1年は必要とされますが、現実には、新卒を含む若手社員の多くが、入社して戦力になる前に早期で退職してしまっているのが現状です。

こうした状況を打開するため、この10年くらいで急速に広まった組織定着のための施策が、
「オンボーディング」と呼ばれる手法です。

「オンボーディング(on-boarding)」とは、「船に乗っている」という意味の「on-board」に由来する言葉です。もともとは、船に新しく乗り込んできたクルーや乗客メンバーに対し、必要なサポートを行い、少しでも早く船旅に慣れてもらう一連のプロセスのことを指します。

米国の企業などでは、オンボーディングは重要な人事プロセスとして位置付けられており、新入社員が迅速に組織に適応し、即戦力メンバーになるための戦略的な取り組みとして位置づけられています。

オンボーディングは定着率改善に効果あり

2022年11月に、月刊総務(リンク貼付:https://www.g-soumu.com/articles/202210on-boardingquestionnaire)が全国の総務担当者(回答数117名)を対象に実施したアンケートによると、『オンボーディングが充実している企業は「とても高い」と「やや高い」が合わせて63.4%、充実していない企業は50.0%と、13.4ポイント差という結果になった。「とても高い」の回答も17.3ポイントの差があり、新卒入社者の定着に効果があることが伺える』とあり、オンボーディングが定着率に影響を及ぼすことが数字上でも明確になっています。

新卒入社者の定着率をどのように評価しますか

月刊総務「オンボーディングについての調査」


資料:月刊総務「オンボーディングについての調査」(2022年11月)

オンボーディングの基本形(フルバージョン)

オンボーディングは、一般的に、以下のような内容が基本形となります。

入社日当日

  • オフィスの案内
  • ウェルカムランチ(これ、非常に重要です)
  • ITツールの説明
  • 同期メンバー間のネットワーキング支援
  • 会社トップや上司からの歓迎の挨拶
  • 交流会(ウェルカムランチができない場合、夕方や早めの夜に社内外で実施)

入社1週間~1か月

  • 会社の歴史や組織風土のオリエン(オリエンテーション)
  • 会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のオリエン
  • 会社のビジネス概況のオリエン
  • 会社の制度やルールのオリエン(明文化されていないルールもここでできるだけ丁寧に説明)
  • 福利厚生のオリエン
  • 1か月目の目標設定
  • 実際の業務の研修
  • 実際の業務のOJT
  • メンター・メンティーの設定(これも非常に重要です。少し斜め上の先輩をメンターに設定します)
  • 本人による振り返り(これはできるだけ数日おきに実施、上司がコミュニケーション)
  • 1か月後面談・フィードバック

入社2か月~3か月

  • 2か月・3か月目の目標設定
  • 実際の業務の研修
  • 実際の業務のOJT
  • 社内勉強会を通じ、部署を超えたネットワーキング支援
  • 1か月後面談・フィードバック
  • 2か月後面談・フィードバック
  • 人事面談

今回は4月中にできることだけを圧縮して1日だけやってみる

これらを、もちろん全てでなくても構いません。今ある手持ちの素材だけで、そして入社日1日だけでも構いません。入社の初日をオンボーディングの時間にあててみてください。

上に挙げた内容(例えば会社の歴史や組織風土、MVVなど)は、すでに経営層の頭の中に存在しているものばかりです。

それを言語化(資料化)するのに、23時間もあれば十分です。資料はなくても構いません。口頭で、ホワイトボードを使って心を込めて説明できれば満点です。

入社当日の「感情」はいつまでも残る

入社初日の社員は、その当日に、自分がいかに歓迎されているか(またはいないか)を、鮮明に記憶に残します。

オンボーディングを行わない会社の入社初日を想像してみてください。周りの先輩社員らが皆、忙しそうにバタバタと動いている中、自分(新卒入社)一人だけ、「会社案内」や「就業規則」を読んでおくように言われ、ただ机にポツンと置き去りにされる光景を。

その初日の記憶・感情はその後もずっと長く心の中に残り、自分は大切にしてもらえていないという「心の支え」が無い状態で、その後、仕事上での困難にぶつかったとしたら…。その心は、すぐに折れてしまいます。

反対に、初日に(できれば数日)、オンボーディングで大切に扱われてきた経験があれば、困難に直面した時でも、「自分は歓迎されている」という心の支えが効いてくるのです(その結果として早期離脱が回避される)。

早期離脱を回避するためには、オンボーディング。
これからの年末年始の時間を使って、来年の春に向けて、ぜひ最小限の範囲で、「オンボーディング」を計画してみてください。

きっと、組織が少しずつ変わり始めますよ。

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