中堅・中小企業がカーボンニュートラルに取り組めること
1. 世界で頻発する異常気象と災害

先日、「HOSEI2030特設部会 カーボンニュートラル推進特設部会」の副座長を務める法政大学理工学部の岡本吉史教授による講演を聴く機会がありました。
近年では、ロサンゼルスでの大規模な山火事、南極大陸での驚異的な熱波…気候変動がもたらす異常気象や自然災害が世界各地で起きています。日本においても、記録的な猛暑や豪雨、台風の大型化、記録的な大雪が顕著になり、企業活動にも大きな影響を及ぼしています。
これらは地球温暖化が主な要因とされ、これに対処するために世界各国がカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を推進しています。
特に中堅・中小企業は、地域社会に根ざしたビジネスを展開していることが多く、気候変動の影響を直接的に受けるケースも少なくありません。異常気象による原材料供給の不安定化、エネルギーコストの高騰、さらには環境規制の強化といったリスクに対応するためにも、カーボンニュートラルの取り組みは避けて通れない課題となっています。
2. カーボンニュートラルアクションの講演
岡本教授は、カーボンニュートラルの実現に向けた具体的なアクションについて、企業が取るべきステップを明確に示してくださいました。
講演では、カーボンニュートラルの基本的な考え方から始まり、企業が実施できる具体策について詳しく解説されました。中でも印象的だったのは、「小さな積み重ねが大きな変化を生む」という点です。中堅・中小企業は、大企業に比べるとリソースが限られているため、大規模な設備投資が難しいケースが多いですが、それでも日々の業務の中でできることは多いと岡本教授は強調されていました。
また、法政大学では以下のような取り組みを進めています。
- 電力消費量の見える化と公表
- 省エネルギー計画の立案と実施
- カーボンニュートラルLNGの導入
- グリーン電力証書の取得
- LED照明や高効率空調機への更新
- 太陽光発電の導入
- 地域社会との連携によるカーボンニュートラルの推進

これらの取り組みは、中堅・中小企業がカーボンニュートラルを進めるうえでの参考になります。
3. 中堅・中小企業が取り組めることは何か
岡本教授の講演を踏まえ、中堅・中小企業がカーボンニュートラルに向けて取り組めるアクションを整理すると、以下のようなものが挙げられます。
①エネルギー使用の見直し
電力使用量の削減は、カーボンニュートラル実現のための基本的な施策の一つです。例えば、LED照明の導入、省エネ型設備の使用、従業員の省エネ意識の向上といった取り組みが挙げられます。また、再生可能エネルギーを活用した電力契約への切り替えも検討する価値があります。
②サプライチェーンの見直し
自社だけでなく、取引先や仕入先と連携し、カーボンフットプリント(製品やサービスが排出するCO2量)を削減することも重要です。環境負荷の低い原材料の選定、輸送の効率化、リサイクルの促進など、業界全体での取り組みが求められます。
③デジタル技術の活用
ペーパーレス化、オンライン会議の活用、IoTを用いたエネルギー管理など、デジタル技術を駆使することでCO2排出量の削減が可能になります。特に中小企業においては、業務効率化とコスト削減の両面でメリットが得られるため、積極的な導入が推奨されます。
④従業員の意識改革
カーボンニュートラルの取り組みは、経営層だけでなく、従業員一人ひとりの意識が重要です。環境に配慮した行動を促進するための研修やワークショップを開催し、企業全体での意識を統一することが効果的です。
カーボンニュートラルは、もはや一部の大企業だけの課題ではなく、中堅・中小企業にとっても避けて通れない経営課題です。異常気象による影響を最小限に抑え、持続可能な企業経営を実現するためには、エネルギー使用の見直し、サプライチェーンの改革、デジタル技術の活用、そして従業員の意識改革といった具体的なアクションが求められます。カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の未来を形作る重要な経営戦略であり、これを積極的に推進することが、持続可能な成長への道を切り拓くことにつながるでしょう。
4. 講演会で30年前にお世話になった経営者と再会

(一般財団法人 東光虻川ものづく財団ホームページより)
講演会の終了後の懇親会で、偶然にも30年前にお世話になった経営者、秋田県大館市の東光ホールディングス虻川名誉相談役と再会する機会がありました。私が20代のコンサルタントの駆け出しだったころ、前職のコンサルティングファームで秋田担当として何度も大舘へ出張し、虻川名誉相談役(当時は社長)から経営について多くの教えをいただきました。今の自分があるのも、虻川名誉相談役のような名経営者に教えをいただいたからです。 現在は東光グループの名誉相談役となっておられますが、『一般財団法人 東光虻川ものづくり財団』を立上げておられました。経営者マインドは健在であり、再会を通じて、「持続可能な経営とは何か」を改めて考えさせられました。 経営理念もシンプルでグッとくるものがあります。会社は地域に支えられて大きくなるのだなと、あらためて勉強になりました。ぜひ、東光ホールディングス様のホームページをご覧ください。 https://www.toko-akita.co.jp/message/
5.最後に

大学で講演を聞いてから帰路についたのですが、以前飲みに行ったことがある居酒屋『どん亀』が、なんとセブンイレブンに…💦 確かにワンオペでやっていた居酒屋だったからなぁ…経営が大変だったのでしょうね…
カーボンニュートラルという節約の工夫と、居酒屋という人生(時間)の浪費(という喜び)… なんとも悩ましい問題ですよね…(^^; トレードオフの関係とは言いませんが、どちらも人生にとって必要な取り組みですよね!
カーボンニュートラルに取り組んでゆきましょう!
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