「手応え」と「共感」が鍵―持続的な働きがいを実現する経営

「働きがい」は何でできている?
人材の確保と定着が企業の重要課題となる中、より重視されるようになってきた「働きがい」。
「働きがい」は、大きく2つの要素に分けて考えることができます。
1つは「手応え」
自分の貢献が周りに認められる、感謝される、成長実感がある、報酬や処遇が変わる、役割が大きくなる、采配がビジネスに影響を及ぼす ー 努力し、もうひと踏ん張りする原動力になります。
ただし、それだけで持続するのは難しいもの。適切な環境が整っていなければ、手応えも次第に「虚しさ」に変わってしまいます。
もう1つ大切なのが、「共感」
「何のために働くのか?」「誰と働くのか?」
ー ここに違和感を覚えると、働く意味を見失いかねません。
実際、厚生労働省の調査でも、離職要因として賃金や休暇などの労働条件よりも人間関係の影響が大きいことが報じられています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf
会社の理念に共感している、事業に情熱を感じる、経営層や管理職、同僚が好き
― 「このためになら汗をかける」「この人達と喜びや苦労を分かち合いたい」と思えることが大切です。
もちろん「共感」だけでも続きません。『やりがい搾取』という言葉が示す通り、使命感だけに頼っていると、やがては「疲弊感」に変わります。
「手応え」と「共感」の両方が揃って、はじめて持続可能な「働きがい」が生まれるのです。

エンゲージメントとは
「働きがい」を考える上で重要なのが、「ワーク・エンゲージメント」の概念です。
エンゲージメントとは何でしょうか?―様々な解説がありますが、3つの要素で考えると本質が見えてきます。

理解 会社の方向性を理解し、これに即した自分の役割やアクションが理解できていること

共感 会社の理念や上司、同僚に共感し、情熱を持っていること

行動 能動的に仕事に取り組み、自発的に行動していること
「理解している」「共感している」だけでは不十分。「実際に行動していること」が重要です。
プロとして目標に向かい、自らアクションを取っていくことが求められます。
一人ひとりのエンゲージメント状態を考える際、上記3要素はわかりやすいアイコンになります。

エンゲージメントサーベイへの参加
社員のエンゲージメントレベルについて会社が把握し、対応するためのツールとして、エンゲージメントサーベイ(従業員調査)があります。エンゲージメントと業績には相関関係があることから、導入企業も増えています。定期的なサーベイ実施により組織の状態を可視化し、継続的な改善に繋げます。
この場合、押さえておきたい点がいくつかあります。
1. 会社の取り組みへの認知
せっかく社内に制度や仕組みがあっても、社員に認知されていなければ、残念な結果に終わります。社内説明会やキャンペーン等の啓発が必要です。
2. 点数の選び方の認識合わせ
点数で回答する形式のサーベイの場合、スコアに対する社員の感覚がまちまちでは信頼できるデータが得られません。評価基準を示しつつ、共通認識を浸透させることが必要です。
3. エンゲージメントが低い社員
何があっても決して高いスコアをつけることはない、いわば“不満分子”となってしまった社員が存在する場合もあるかもしれません。根気を要する泥臭い対応をすることになります。
エンゲージメントサーベイに取り組む場合、大切なのは、社員も結果分析やアクションに関わること。
決して「社員:回答する人、上司:改善する人」の構図になってはいけません。
全員の当事者意識を醸成することで、共に次のサーベイ結果を待つ関係性が発展します。
「働きがい」の取り組みがい
社内環境が整ってきたら、アワード(賞)やランキングに応募するのも一案です。良好な結果が得られた場合は採用の後押しになり、何より社員のモチベーションが上がります。商談で話題にできるのはもちろんのこと、家族や友人に自慢してくれる等、嬉しい反響が広がります。
これが『エンプロイヤーブランディング』です。
社員を対象としたマーケティング活動とも言え、「社員にどう感じてほしいか?」「どうなってほしいか?」意識しながら、働きがい向上策を講じることになります。
どこから着手したらよいでしょうか?― 優先順位は会社ごとに異なります。
企業理念に基づく採用、仕事と連動した育成、業績向上に繋がる評価制度、問題が生じた時の泥臭い対応等、地道な取り組みを重ねながら企業文化を醸成します。一朝一夕では変わらないからこそ取り組みがいがあり、振り返った時の醍醐味も大きいものです。
そして、働きがいの第一歩は、目の前のコミュニケーションの質から。声をかける、苦労をねぎらう、耳を傾ける、参画を求める、改善を促す ー 制度や施策だけでなく、日常場面の中でできることも実は無数にあるのです。
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